いい意味で、バカで楽しい仲間たち
――ツーリングするには、店の前の道路の国道159号線は、景色も良いですし、バイカーも多く通るのでは?
進さん:景色で飯は食えないね(笑)。のと里山海道ができてからは、県内外のバイカーも車も、能登へのアクセスには、のと里山海道を使うことがほとんどになってしまったね。
と言っても、移転したりするつもりは全くないよ。うちは特殊な商品を扱っている商売だから、欲を出して「もっともっと」となると、手が回らなくてお客さんに迷惑をかけることになる。今がちょうど良いのかもしれないね。
――通りすがりで買う品物でもないですしね。
進さん:通りすがりで買ってくれたお客さんもいたけどね。ガラス越しに見て気に入ってくれたお客さんが、通りすがりに500万円のバイクを現金で購入してくれた。びっくりだよね(笑)。
あと、こんな人もいたな。うちの店は夜20時に閉店なんだけど、17時頃に「今から買いに行くから商品を用意してくれ」って電話があった。「たしかお客さんの住まいは伊勢だったよね」と聞くと「そうだよ。でも大丈夫、閉店までに間に合うから」って返事がきて。なんとその人、伊勢から自家用ヘリに乗って、バイクを買いに来たんだよ(笑)。富山空港でヘリを降りて、そこからハイヤーでうちまで。帰りはうちで買ったバイクに乗って帰っていったよ。
バイク乗りは本当、いい意味で、バカが多いかもしれない。あても無いのにただ走り出すし。それが楽しいんだよ。
――サンライズ・サンセット・ツーリング・ラリー(通称SSTR)の拠点になっているそうですね。ラリーについて、教えてください。
進さん:日の出から日没までに、太平洋から日本海まで日本列島を横断するアドベンチャーツーリングで、土曜日の朝、太平洋側のどこでもいいから出発地点を決めて、そこで日の出の写真をスマホで撮って本部に送ってスタート。各自、自由なルートで、夕日が沈むまでに千里浜にゴールするというレース。
レースと言っても、時間やスピードを競うのではなくて、「どれだけ楽しめたか」を競うのがこのレースの面白いところ。レースの中で一番大事にされるのは、「こんなことあった、あんなことあった」という報告なんだよね。その内容によって表彰したりもしてる。本部が一番大変だよね。本部には、参加者全員、2千人以上のレポートが届くし、そのレポートを全部読まなくちゃいけないから。
きゃぷてんは、ゴール地点で、縁の下の力持ち役をやってる。お客さんを受け入れている「風間事務所」のボランティアサポートだね。そもそもSSTRは冒険家の風間深志さんが考えたイベントで、それを僕らが受け入れて、手伝っている。
――バイクに興味が出てきました。
進さん:車の免許あれば乗れるものもあるよ。オートマ限定でも大丈夫なトライクというバイクもある。店内にいろいろ置いてあるよ。
もし二輪車免許を持っていて久しぶりに乗る場合は、自動車学校横の側道とかで、ちょっと練習してみてから乗った方が良いよ。オートバイはひっくり返って少しでも怪我したら、もう二度と乗らなくなるから。それは、寂しすぎる。
きゃぷてんではお客さんとのツーリングイベントも行っている。日帰りは毎月、1泊ないし2泊は年に2回。20~50台程度で走る。店内にはSSTRをはじめ、各イベントの写真がアルバムにまとめられている