とことん貫く、スターマインマインド
―― 花火の仕事の中で、こだわっているポイントなど、ありますか?
嵯峨井さん:やっぱりスターマイン(高速連射花火)ですね。スターマインでの、花火の色の組み合わせ、流れということにすごく気をつけています。あとは、音楽とシンクロさせて打ち上げるということにも重きを置いてます。
―― スターマインって、たくさんの花火を組み合わせて連続的に打ち上げながら、ひとつのテーマを描き出すものですよね。どうやって考えるんですか?
嵯峨井さん:例えば、オープニングのスターマイン、半ばのスターマイン、フィナーレのスターマインと分かれている場合は、3台について、それぞれ流れを考えます。1台の長さは、予算に応じて変わりますね。僕たちは商売でやっていますから、予算に応じてどのくらい玉を使えるのかを計算して、可能な範囲の中で演出します。
まあ、東間の花火大会とかだったら、地元なので、儲けもなにも考えないで自由にやっていますけど(笑)。
―― ストーリーを頭でイメージしながら、毎年、違う流れを考えるのですか?
嵯峨井さん:そうですね。その現場ごとに、お客さまが喜んでくれるものは何かなあと想像して、イメージを作っていきます。なかなか考えが浮かばないこともあって、産みの苦しみを味わうこともありますけど、一旦方向性が決まると、どんどん乗っていっちゃうので、時間を忘れて気がつくと夜中になっていた、ということもしばしばです。
音楽スターマインだと、音に花火のタイミングを合わせるので、音と光のタイムラグももちろん計算して、筒から発射するタイミングで曲を合わせたり、上空で合わせたり、工夫しています。
―― 毎年、企画や流れを考えるのって大変ですね。
嵯峨井さん:これは人には恥ずかしくてあんまり言えないんですけど・・・、映画とか音楽とか、ミュージカル、特にアメリカナイズされたショービジネスを努めて見るようにしています。繊細で計算しつくされた演出を見るたびに、「うわっ俺、しょぼいことしてるなぁ」っていつも思いますよ。花火の仕事をやってるときは一生懸命ですけど、「まだまだできるぞ、もっとやれるぞ」って感じさせてもらいますね。
能登煙火のスターマインは、数々のコンクールで受賞している