招き猫の真実。
ーー カフェを訪れるのは、どんなお客さんが多いですか。
左知子さん:県外や町外の方が多いですね。ほとんどが猫好きで、猫の好きな人が口コミで伝えてってくださって、広がっています。
ーー 猫カフェのイメージもありますよね。ここにいる猫は、みんな野良猫だったんですよね。
左知子さん:そうです。米蔵のネズミ除けとして飼っていた猫が自然に増えちゃったり、山に猫を捨てに来たりする人もいたみたいで、集落内に野良猫は多かったです。子猫だとすぐにもらい手がつくんですけど、うちにいる子はほとんど人に懐かない売れ残りの猫ちゃんたちです。今も野良猫がいると集落の方から声がかかるので、NPO法人を紹介したりしていますよ。
ーー 猫がお好きなんですねえ。
左知子さん:むしろ私たち、犬派だったんです。
ーー えっ!
左知子さん:別に猫は嫌いじゃなかったんだけど、ずっと犬を飼っていましたし、最後に飼っていた犬が死んじゃった後は「お別れが悲しいし、もう動物は飼えないね」って言ったりしてたんです。それがここに引っ越して来て、ウッドデッキを作った瞬間、窓の外に野良猫がバーって並んでいて(笑)。集落の皆さんからは、懐くから絶対にエサをあげないように言われてたんです。でも小さい雌猫が「お腹すいたよ」「寒いよ」って顔して、雪をかぶりながらウッドデッキに並んでいて。しかもみんな妊娠していて。もう女としては放っておけなくなって、「これはもうしかられたとしても」って決めてエサをあげちゃったんです。それがはじまりですね。
そのあと、4匹のお母さん猫たちが17匹の子猫を産んだので、NPO法人に協力していただき里親を見つけてもらいました。みんなすごく良い家にもらわれていって、野良猫から急にセレブ猫に(笑)。でも親猫たちは今さら家に閉じ込めることがストレスになってしまうので、私たちも面倒をみることになったんです。
静男さん:家の改修もしながら猫の去勢もしなきゃいけないし、もらい手も探さなきゃいけない。当時は、毎日くたくたでしたね。会社でも会議の途中でつい居眠りしちゃっていましたよ(笑)。
左知子さん:引っ越したなりは本当に猫物語に付き合っていた感じです。お店をオープンした時も、お店どころじゃないのが正直なところ。でも、やっと猫が整ってきて、さあこれからちゃんとお店がんばろうって思ったら、急にいろんな取材が来るようになったんです。本当、招き猫ですよね。