―― 昔から自動車が好きだったり、会社を継ごうと思っておられたんですか。
坂本さん: 正直、親の仕事を継ごうとは全く思っていなかったです。本当に成りゆき。自動車も、別に好きってわけじゃないし(笑)。
僕は、高校を卒業してから大阪の大学に進学して、そのまま大阪で先物取引の会社に就職したんです。けれど、仕事内容が合わなくて退社しました。一応、実家の仕事のこともあったので、23歳の時に名古屋の自動車整備の専門学校に入り直して、2年通いました。ただ、卒業後も実家を継ぐつもりはなくて、金沢にあるカーディーラーに入社して、7年間、整備と営業を経験しました。
父から「戻ってこい」って声がかかったのは、今から5〜6年ほど前ですね。その時も「え?」っていう感じでしたけれど、姉やもう一人の整備士とも話をして、守らなくてはいけないのはお客さんであって、僕が意地を張っていてもしょうがないと思って、戻る決断をしました。
父とは、数年間一緒に働いたんですけど、父の昔ながらのやり方に共感できないところもあります。だから今は、「継いだ」というよりも、「新しく会社をしている」って感じで考えています。