――おかみさんがお仕事をする上での、「宝」は何でしょう?
おかみさん:たくさんあります。蔵ももちろんそうですし。仕事しに来てくださる職人さんも宝です。でもやっぱり、一番と聞かれると、「人とのつながり」ですね。
人というのは、一番にお客さんです。お醤油買いに来られた方には、すこしでも良い思いで帰っていただきたいと心がけています。
また、息子の嫁も関東から来たのですが、地元に馴染んでくれていますし、そういったつながりも、とても感謝しています。
先代である姑は他界しましたが、今でも「ここが大事だったのか」など、日々、仕事のなかで気づかせてもらっています。亡くなられたあとも、「こういうふうに仕事していらしたわ」と思い出して、真似をしてみることも多いです。
姑がしてくれたように、私自身も、伝えたいことを自然に行動で表しながら、次の代へ継いでいきたいです。ヤマチ醤油そのものを好きになってくだされば、私たちが代替わりしても、また、お客様の次の世代にも、価値が伝わっていくのではないかと思っています。
TOP写真:左から、息子の嫁である由紀さん、おかみさん、蔵人の中田さん。 この他、おかみさんのご主人と、もう一人、蔵人さんが働いている
(取材:安江雪菜 撮影:下家康弘 編集:鶴沢木綿子)