―― 平打ち、太めの蕎麦なんですね。さっそく、いただきます!
ズズッ・・・ズッ・・・ズズッ・・・
ズズッ・・・ズッ・・・ズズッ・・・
すみません。のどごしが気持ちよくて箸が止まらなくなってしまいました。
辛味大根の風味がとてもさわやかで、お蕎麦が甘く感じられますね。
四十物さん:蕎麦の粉に甘みがあって、大根は汁だけなのにさっぱり辛い。相性が良いんやね。蕎麦に詳しいお客さんも、他の蕎麦とは甘みが違うって言ってくれるよ。
才田さん:粉にも相当こだわっとるからね。今の粉にたどり着くにもかなりの紆余曲折があってね。蕎麦の実って、その年の作柄によって良い時も悪い時もあるし、品質が安定しない。店を立ち上げる時、店主は蕎麦の実を買って手挽きで出すことも考えたけど、それよりも年間通じて安定した味を出しつづけるほうが大事なんじゃないかって判断したんやわ。今は、北海道と福井の製粉会社3社を選んで、それぞれで挽いた蕎麦の粉をここでブレンドして、打っとる。
四十物さん:そのほうが、蕎麦の実を買って挽くより、いつでも新鮮なものが出せる。蕎麦の実が採れる時期は10月頃だけやし、それを1年間保たせなくちゃいけない。だから蕎麦の実を冷凍することになるんだけど、蕎麦の実ってすごく劣化しやすいし、冷凍保存も簡単じゃない。そういう意味では、きちんとした状態で保存されたものを選ぶほうが、ずっと安定しておいしいものが出せる。